◆ 会長挨拶
日本人間教育学会 会長
梶田叡一(聖ウルスラ学院 理事長)
この度、人間としての真の成長を願う「人間教育」の実現を目指す教育研究を推進するために、日本人間教育学会を発足することとなりました。
「人間教育」の理想は、子どもたちと教育者双方の人間的な成長を視野に入れた理論と実践の対話によって実現するものであると考えています。この方向での研究は、これまで教育学、教育哲学、教育心理学、教育社会学、教育実践学等々の専門分野で行われてきましたが、本学会は学際的にこうした諸研究の統合的発展を目指していきたいと願っています。
「人間教育」の理想の実現のために本学会は、子どもたちの学力保障と成長保障の両全を目指すと共に、教育者自身のあり方も問いたいと考えています。このことは、師弟関係における師たるものの生き方、あり方を根本的な意味で重視するものであり、教育者自身の人間的な面での研鑽を目指すことでもあります。
日本の教育は、常に厳しい教育的課題と向き合い、それに真摯に取り組む中で進んできました。そうした中で、ときに日本の学校、教師は、時々の教育的課題や教育の流行に翻弄されることもありましたが、私たち日本人間教育学会は、教育の万古不易の面を強く意識し、一時の流行に流されることのない主体的思考を堅持して教育課題や教育問題を考えていきたいと願っています。日本人間教育学会は、複雑で重要な教育問題、教育的課題ほど、単一の正解はないという教育の特質を踏まえ、この国の未来が教育の中にこそあるという熱い思いを堅持し、学校、教師の疑問や悩みと真剣に向き合う学会として進んでいく決意でいます。そのため、学校と教室における教育成果にこだわり、教育学研究を基礎研究から重視することと共に、研究者と実践者の対話、コラボレーションによる授業提案や日本の教育に求められる実践、取組の提案も重視します。
このような本学会の趣旨に賛同し、共に自身を謙虚に磨く決意に満ちた教師、大学教員の方々に広く入会を呼びかけます。
みなさん、日本人間教育学会に入会し、教育のあり方の根本に思いをいたし、研究者として、また教育者として、共に自らの人間性を磨き合っていこうではありませんか。